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タミフルによる異常行動(自殺行動)の実態は?

いま、インフルエンザの治療薬―タミフルを、10代の子供が服用した後に異常行動をとるという問題がおきています。
異常行動というのは、基本的には(というか、全面的に)、それは自殺行動です。
自殺行動をとるのは統合失調症であることを、このホームページ内でも繰り返し述べてきました。

結論は、比較的単純なものです。

患者が統合失調症であるとき、タミフルが希死念慮(消滅願望)を行動化してしまう、というものです。
タミフルで自殺行動をとった患者さんの、それまでの様子を振り返ってみた場合、おそらく「無気力だった」「憂うつそうだった」「元気がなかった」「イライラして情緒不安定だった」、あるいは、不登校ぎみであったり、睡眠状態が悪くなっていたり…と、統合失調症を思わせる状況があったのではないでしょうか。その点をしっかりと確認してみるべきだと思います。あるいは、残念ながら自殺して亡くなられた子供さんの「大脳の前頭葉の萎縮の有無」をチェックできれば、これらの事実を確認できるのではないでしょうか?
インフルエンザの高熱で脱力感が強くてグッタリし、高熱のためにモウロウとしているときに、タミフルによってインフルエンザの諸症状が一気に改善して心身ともに軽くなって、それまで行動化することのなかった希死念慮(消滅願望)が、自殺行動化してしまうのではないでしょうか? それほどに、インフルエンザに著効するタミフルを、ムヤミに使用禁止にするべきではありません。
そのような観点で、タミフルと自殺行動の関係を見直していくと、この問題の解決は一気に進み、インフルエンザそのものによって尊い命をなくす子供さんたちを救えるのではないでしょうか。

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自殺の原因は、うつ病? 


まだまだ、自殺の原因はうつ病である、と信じられています。
けれども、うつ病の原因の記事でも書きましたが、うつ病の人の場合は、一生懸命気負っていて、頑張っていて、考えや気持ちは前向き(プラス思考)なのです。
一方、統合失調症の人の場合には、気力が減退していて、悲観的・絶望的となっていて、自分自身を責めてしまう気持ち(自責の念)が強くなっていて、考えや気持ちが後ろ向き(マイナス思考)になっていて、消えてなくなりたい気持ちが強まっています。
ですから、希死念慮(自殺願望)はうつ病の症状ではなくて、統合失調症の症状のひとつなのです。この点が、日本においても、また、国際的にも、まだまだ十分に整理された理解のされ方がなされていません。

わたしの考えでは、これはICD-10(WHOが定めた国際分類)やDSM-W-TR(アメリカ精神医学会の分類)といった精神疾患の分類システムが世界的に利用されていることによる、いちばんの弊害なのです。これらの分類システムができあがり、疾患分類のための「診断基準」が細かく規定され、世界中の精神科医は「自分が今見ている患者は、どの診断基準にいちばん合致しているか」を考えることに汲々としています。
そのために、精神疾患を細分類化することばかりに気をとられていて、精神疾患の本質の究明がおろそかにされてしまっているのです。国際分類などの診断基準を一生懸命勉強していると、患者さんを診たときに「どう分類するか」という見方を先行させてしまいがちです。しかし、本当に大事なのは「その患者さんがかかえている問題(精神疾患)の本質はどこにあるのだろう」という視点で考えることです。
そして、そのような視点から診ていくと、たくさんの患者さんの間に共通した「本質的な部分」が、精神科医の目には明らかになってきます。このように、「本質を究明していくなかで、多くの患者さんの間に見出される共通項」をさがしていく方法をとると、一人ひとりの精神科医の中で、疾患単位が明確な形をとり始めます。
そして、それは多くの精神科医が共有できる「疾患概念」になっていくでしょう。
でも、残念ながら現実はまだそのようにはなっていません。ひたすら「分類システム」の「診断基準」を患者さんに当てはめる技術の習得、というレベルを超えられずにいます。

さて、それはともかくとして、世の中で「効率化」が叫ばれだし、社会が「高度管理化社会」になっていくと、効率化の波にのみこまれ、管理化されていき、マイペースで生活できない人たちが大勢生まれてきます。
その多くは、うつ病の患者さんではなくて、統合失調症の患者さんです。
統合失調症の原因の記事にも書きましたが、周囲のペースに巻き込まれ、周囲のペースに振り回され、マイペースで生活できなくなり、そして、「自分は皆についていけない」「うまくやっていけない」「自分は取り残されていく」「自分は落ちこぼれていく」という気持ちを強くいだき始めると、その人は統合失調症の状態に陥ってしまいます。
ですから、「効率化」の波が押し寄せ、「高度管理化社会」になり、自殺が増えたのは、「効率化」や「管理化」がうつ病患者さんを増やすとともに、それよりもはるかに多くの統合失調症患者さんを増やしてしまっているからなのです。

わたしたちは、周囲のペースに巻き込まれず、自分のペースを守って健康に生活し続けるように心がけたいものです。

  抗うつ薬「自殺の危険性あり」の誤り! 

自殺の原因の大部分は、実は「統合失調症」です。「絶望感」「消えてなくなりたい気分」は統合失調症の基本的な症状のひとつです。しかし、世界中で「うつ病」が自殺のいちばんの原因であるという認識がまかり通っています。そのため統合失調症の治療に抗精神病薬が使われず、抗うつ薬が使われ、そして、自殺を防げなかったという悲しい状況が続いているのです。

自殺の原因の大部分は、実は「統合失調症」です。
「絶望感」や「消えてなくなりたい気分」は、統合失調症の基本的な症状のひとつです。しかし、まだまだ世界中で、「うつ病」が自殺のいちばんの原因である、という認識がまかり通っています。
そのため統合失調症の治療に「抗精神病薬」が使われずに、間違って「抗うつ薬」が使われ、そして結局は、自殺を防ぐことができなかったという悲しい状況が続いているのです。

統合失調症の場合、前向きの気持ちがなくなり、いわゆる「マイナス思考」が強まり、「絶望感」や「悲観的な気分」が強まります。「生きていても何の意味があるんだろう」とか、「こんなに辛いならいっそ死んでしまいたい」というふうに考えてしまいます。このとき、「抗うつ薬」ではなくて「抗精神病薬」が著効を示します。「抗うつ薬」は統合失調症を治療する薬ではないので、「抗うつ薬」で自殺は防げません。
一方、うつ病の場合、心のゆとりはなくなりますが、いわゆる「プラス思考」が消えることはなく、いろいろなことに果敢に挑戦し続けます。頑張ってみては「いっぱいいっぱいの状態」になることを繰り返しがちです。けれども、「絶望感」は抱きません。「なんとかなるさ」という前向きな姿勢はなくなりません。そして、この場合、「抗うつ薬」が著効を示し、「抗精神病薬」は副作用のみをもたらします。
統合失調症で自殺が多くても、うつ病では自殺は稀です。
日本の専門家ばかりではなく、世界的にも、このあたりの状況を勘違いしている専門家がまだまだ多いのが現実です。
その結果、「抗うつ薬は、うつ病患者の自殺の危険性を増す」という誤った認識がうまれ、そのような警告が発せられる結果になってしまうのです。

今もっとも必要な警告は、「自殺や希死念慮(自殺願望)をみたら、まず統合失調症を疑え!」というものであるべきです。


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