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統合失調症になっていくプロセス  統合失調症の症状の発現 統合失調症の精神症状
統合失調症の身体症状 概念図を用いた説明 統合失調症のCT所見
統合失調症の治療方法周囲のかかわり方

「統合失調症」という病気は、「うつ病」とともにとても誤解されて考えられています。

たとえば、よく行われる説明には 「統合失調症には ”陽性症状” と ”陰性症状” があって…云々」 というものがあります。けれども、陽性症状とは何か、陰性症状とは何か、それらはどのように区別されるのか、つまり、どうしてある症状が 「陽性」 なのか 「陰性」 なのかという区別の仕方があいまいなまま、”陽性症状” と ”陰性症状” という言葉が安易に使われています。それらの症状はどのようにして出現するのか、などに対しては何の説明もないまま、これらの 「特殊用語」 が無批判に使われているのが現状です。
あるいは、 「統合失調症は脳内ドーパミンが過剰になって生じる病気であって…云々」 という、まるで統合失調症という病気がこの一言ですべて説明し切れているかのような 「ドーパミン仮説」 も、専門家からよくきかされると思います。けれども、ドーパミンという神経伝達物質がどうして増えるのかは分かっていません。また、脳内でドーパミンの働きが過剰になるのは統合失調症の原因なのか、それとも、結果なのか、などという問題も十分な考察がされないままに、無批判に 「病気の原因」 であるとされてしまっています。
※ これは、 「うつ病は脳内セロトニンが減少して生じる病気であって…云々」 という説明にも当てはまる問題点です。
ちなみに、わたしはどちらも 「病気の結果」 だと思っています。なぜなら、これから説明するように、 「統合失調症」 には、その原因(発病メカニズム)として脳内の神経伝達物質(ドーパミン)の増減以外の実に分かりやすい説明が用意されているからです。
「うつ病」についても同様に、その原因として脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)の増減以外の実にわかりやすい説明が用意されています(うつ病のページを参照)。

このページでは、統合失調症の原因、統合失調症の症状、統合失調症の治療、などが一般の人にも納得できる形で、わかりやすく説明してあります。
大部分はわたしのオリジナルな考えですが、あくまでも臨床経験に裏うちされた納得のできる説明だと思っています。
※ もちろん、 「私以外にこれらの考えに思い至った人がいなかった」 などと言っているのではありません。今までいろいろな人が、いろいろなところ(文献)で述べてきた考えの、「新たな集大成」の1つと考えてください。

統合失調症になっていくプロセス(過程)
統合失調症の原因としては、いくつかのバリエーションが考えられます。たとえば、
  • 周りのペースがどんどん速くなっていき、どんどん先にすすんでいくように感じ始めることがあります。
    すると、「自分はみんなについていけないのではないか」 「自分ひとり取り残され、落伍してしまうのではないか」 「自分ひとり置いてきぼりを食ってしまうのではないか」
    などと感じはじめ、そのような気持ちをいだき続けて生活し続けることがあります。
  • 周囲の期待に応えなければと頑張って仕事や勉強をやっていくうちに、
    「自分の能力が劣っていて、自分は期待に応えられないのではないか」
    などと考えはじめ、そのような気持ちをいだき続けて生活し続けることがあります。
  • 主体性の乏しい人(依存的な人)が、
    「自分は相手のペースに巻きこまれ、引きずられている」 「自分は周囲のペースに振りまわされ、自分の人生は自分ではどうにもならない」
    などと感じはじめます。
    すると、 「自分のペースではぜんぜん生活できない」 「自分がなくなっていく」 などと感じはじめ、そのような気持ちをいだきながら生活を続けていくことがあります。
  • 人の目や人の評価を気にするようになり、 「引き受けたことはキチンとやらなければならない」 などと考えるようになると、
    「つねに追い立てられている感じ」 「自分のペースで生活できない感じ」
    が出現しはじめ、そのような気持ちをいだき続けて生活し続けるようになります。
統合失調症の原因としては、以上のようなものが考えられます。
すなわち、「自分がみんなについていけないのではないか」 「自分は取り残され、置いてきぼりを食ってしまうのではないか」 「自分は周りのペースに振りまわされていて、ぜんぜん自分のペースで生活できない」 「周りのペースに追いたてられ、ぜんぜん自分のペースが保てない」などと考え続けるわけです。これらは、もともと周囲とうまくコミュニケーションをとるのが苦手な人に多いものです。

                        

すると、やがて
  • 「無力感を感じる」ようになります。「うまくやっていけないのではないか」と考え始めます。自分は何をやってもダメだという思いがつのっていきます。
  • 自分の将来に対する閉塞感が生まれていき、自分の将来が見通せなくなってきます。このため、先行きの不安がつのっていきます。
                        

統合失調症の症状の発現
 
  • 「自分の人生は運命に翻弄されている」と感じ始めます。
    (自分の人生に対する主体性が弱まったり失われたりします。)
    → すると、 「どうしようどうしよう」、「自分の人生はどうなってしまうんだろう」と浮き足だった気分が強まっていきます。無力感・無気力にもつながっていきます。

                           
  • 自分が周囲(他者あるいは外界)と隔絶・隔離されていて、周囲に直接触れられないもどかしい状態、周囲が含んでいるいろいろな意味を生き生きと捉えられなくなり、理解しづらい状態が生まれます。
    (現実感が弱まったり失われたりします。)
    → これが離人症状(離人症)、現実感喪失です。
    また、同時に周囲とうまくコミュニケーションをとれなくなります。
    (意思疎通性の障害)
  • また、自分の感情がうまくコントロールできなくなります。
    (自分の感情に対する主体性が弱まり鈍くなったり失われたりします。)
    → これが感情失禁や無感動、精神運動興奮や混迷状態などの形で現われます。
    人前で急に号泣したり、わけもなく涙がでてきて止まらなくなったり、感情がわかなくなったりします。
  • またさらに、自分の身体の知覚も感じとれなくなります。
    (自分の身体や精神の疲労感・痛みの感覚が弱まり鈍くなったり失われたりします。)
    → 自分自身の感情や感覚(知覚)が鈍くなっていき、それが統合失調症の種々の奇異な身体症状の発現のきっかけ(ないしは発現のメカニズム)となります。

                           

  • さらに進行すると、自分の行動が他人に操られているように感じ始めます。
    (自分の行動に対する主体性が弱まったり失われたりします。)
    → これが幻覚妄想状態、作為体験(あやつられ体験)です。
    また、自分の思考も他人に操られているように感じ始めます。
    (自分の思考に対する主体性が弱まったり失われたりします。)
    → これが思考奪取、思考伝播、思考途絶、考想化声(思考化声)などです。

そのとき出てくる統合失調症の精神症状
  • 気力(意欲・やる気)がなくなります。
    何事も億劫になります。
  • まわりとうまくコミュニケーションがとれなくなります。
    コミュニケーションをとるのが苦手になり、億劫になり、コミュニケーションをとることに消極的になります。
    そして、社会からのひきこもりの状態が生じます。(下の概念図2概念図3概念図4の順に病気が進んでいきます。)
  • 情緒不安定になります。
    イライラ感が強まり、人や物に当たったり、自分を傷つけたくなります。
    (小さなお子さんをもつお母さんの場合、子供につい当たってしまうとのことで、自責の念が強まり、そんな自分を何とかしたいと受診することがよくあります。)
    先行きの不安感が強まります。
    (取り越し苦労が多くなり、心配性になります。)
    消えてなくなりたい気持ち、逃げ出したい気持ちが強まります。
    (自殺を考えたり、人ごみや職場など、今いる所から逃げ出したくなったり、自分のことを知ってる人が誰もいない遠い土地に逃げ出し蒸発したいと考えたり、新しく引っ越してきた土地から逃げ出して、もと住んでいた場所に逃げ帰りたいなどと考えます。)
  • 混乱して、どうしていいか分からなくなり、パニクりやすくなります。頭の中が真っ白になってしまいます。
    「どうしようどうしよう」と、浮き足だってしまいます。

                           
統合失調症の身体症状がでるメカニズム(しくみ)
  • そのとき、自分で自分の疲れを感じとれなくなります。また、痛みに対しても鈍感になっります。
    自分自身の緊張の度合い、自分がさらされているストレスの強さなどを感じ取れなくなります。
  • そのために、ふつうは疲れがたまっているときに出てくる「めまい」 「たちくらみ」 「ふらつき」などが突然出現します。「メニエール病」などと診断されることが多いと思われます。めまいをとめる治療をしてもなかなかよくなりません。また、耳がふさがった感じ、聞こえが悪くなることが急に出現することもあり、「突発性難聴」などと診断されます。
  • また、諸症状が突然現われるので、びっくり仰天して強い不安が現われることもありますし、慌てふためいてしまいます。いわゆる「パニック発作」 「不安発作」です。
    あるいは、ふつうは緊張が持続したときに現われる緊張性頭痛・偏頭痛(片頭痛)なども、統合失調症のときには「突然」出現するので、これもやはりびっくり仰天する原因になりやすく、脳神経外科などに駆け込むことを繰り返しがちです。
  • 痛みに対する鈍感さは、たとえば、ふつうは激しい痛みを伴う「イレウス(腸閉塞)」なども、手遅れになりかけて、血圧の急激な低下とか、吐き気、腹部の違和感・膨満感、ふらつきなどによって医療機関を受診し、発見されることもあります。
  • ほかにも、急に現われる「動悸」 「肩や背中の凝り・痛み」 「脱力感」 「手足のふるえ」など、いずれも疲れすぎたときに出てくるような身体症状が、いろいろと出てくるものです。
以上のことを、概念図を用いて説明しなおしてみます。 

《概念図-1》
  • 健康な状態とは…?
    これは厳密には、「統合失調症ではない状態」というべきかもしれません。というのも、重いうつ病などの場合でも、この「健康な状態」の説明が当てはまるからです。
  • このとき、わたしたちは自分(自我とか自己などとも言います。)が、他者(外界などとも言います。)とはある明確な境界線によって区別される存在であることを確信できます。
概念図1
  • 右の概念図‐1のような状態です。自分に属するもの(自己)と自分以外に属するもの(非自己)とが、明確に区別して捉えられている状態です。
    健康な状態(統合失調症ではない状態)のとき、わたしたちは、このように自分のことと自分以外のことの区別をつけられます。
    当たり前すぎて、何のことか分からない人もいるでしょう。

    次の概念図-2をみてください。

《概念図-2》
  • さて、それが統合失調症の状態になると、どのように変化してくるのか?
    それを示したのが、概念図‐2です。
概念図2
  • 統合失調症になると、周りのペースについていけず、周りのペースに振りまわされ、無力感が生まれてきます。
    外界が自分に向かって、圧倒的な勢いをもって迫ってくるように感じ出します。
    自分が外界から侵食され、自分が縮まっていくように感じ始めます。

    その状態を概念図にしたのが、右の概念図‐2です。
  • 患者さんのなかには、そのものズバリで「周りが自分に侵入してくる」とか、「自分と周りの境界が曖昧になったように感じる」とか、「自分の考えが周囲にもれだしていく感じがする」などと訴える人がいます。

    統合失調症の状態というのは、これらの人が訴えたとおりの状態なのです。
    概念図どおりに、「周りが自分に向かって侵入」し、「自分と周囲との境界があいまいになった」と訴えているわけです。
  • 離人症・現実感喪失などの状態は、このようなときに起きます。
    あるいは、このような状態を示す好例といえるかもしれません。統合失調症の患者さんは多かれ少なかれ、離人状態・現実感の喪失状態にあるともいえるわけです。
    多重人格も、このときに、とくに若い人で出現の頻度が高くなります。コア(核)となる縮んだ自我(自分)を取り巻く「複数の自分」が現われるからです。

《概念図-3》
  • 患者さんは、概念図-3にみるように、周囲との間にバリケードをはろうとします。あるいは硬い殻の中にひきこもろうとします。
※ 別な見方をすると、概念図-2でみるように、外界とのコンタクトがうまく取れなくなるのです。
いずれにしても周囲との接触性が不良になることは間違いありません。
患者さんは、「1を聞けば10を理解する」 あるいは、「ツーといえばカー」 「打てば響くような了解性」が低下し、意思疎通をはかるのに多かれ少なかれ障害を抱えています。もちろん、統合失調症がよくなると、これらの症状は改善し、とても意思の疎通をはかりやすくなります。
※ ですから、まず薬物治療を開始して、このようなコミュニケーション障害が改善してきたところで、精神療法を本格的に開始するのが効果的です。

概念図3
  • 概念図‐3で 青い→ で示したように、外界との接触性(コンタクト能力、コミュニケーション能力)の障害が生じています。
    自分の意思をうまく伝えられなくなります。
    ※ 内から外への情報伝達の障害。
    また、周りで起きていることを的確に把握することが苦手になりますし、周りの人が言っていることを的確に理解することが困難になってきます。
    ※ 外から内への情報伝達の障害。
    すなわち、双方向の障害が生じます。
  • また、自分の感じるべき外界から加わる種々のストレスにも鈍感になっています。
    それはつまり、
    青い内向きの→ がまさに示していることだとも言えます。
  • 同時に、概念図-3で 赤い→ で示したように、実は「本来の自分」の中でおきている葛藤、あるいは自責の念にもとづく「内なる声」が、あたかも「自分の外」から聞こえてくるように「幻聴」となって聞こえ始めることもあります。あるいは、自分がやっていること・考えていること(自分だけの秘密)が「自分の外」に知られてしまっているように感じ始めます。やがてそれは確信に変わります。それが、種々の「幻覚」や「妄想」の本質です。
  • また、健康であれば感じ取れるはずの自分の肉体の疲れや痛みなどの感覚にも鈍感になっていると、上で説明しました。
    これはまさに、
    赤い内向きの→ が示していることです。

    このように、概念図をもとにして考えていくと、統合失調症の種々の症状の成り立ちがとてもよく理解できるようになります。
    そして、これまで使われてきた”陽性症状” ”陰性症状”なる概念が、いかに物事の本質を分からなくさせ、病気を理解したり、病気の症状を理解したりするのにいかに悪い影響を及ぼしたかがわかります。

《概念図-4》
  • もっと分かりやすく示したのが概念図-4です。
概念図4
  • 一部はすでに説明しましたが、ここで再び、統合失調症の症状の成り立ちを整理して説明しておきましょう。
    青い内向き→
    了解性の低下
    外界からの情報が伝わりにくくなっています。また、外界を観察する目にもベールがかかった状態になります。物事の本質を捉えにくくなり、今自分がおかれている立場・事態・状況を的確に判断できにくくなります。このことは、患者さんの不安をいっそうかきたてます。
    青い外向きの→
    意思疎通性の障害
    自分の意思をうまく他人に伝えられなくなります。周りから見ると、言葉数が少なくなったり、ときには逆にとても多弁で多くを訴えるのですが、一方的にしゃべっている印象で、本人が何を言いたいのか捉えがたくなります。
    気力の減退・意欲の低下
    自分から周囲に働きかけることが面倒になってきます。周りから見ると、元気がなくなり、覇気がなくなったように感じます。
    無力感が強まっているためともいえます。
    ひきこもり
    意思の表出が少なくなり、周りから見ると、ボーっとしていて、自分の殻(自分の世界)にひきこもってしまったように見えます。
    赤い内向きの→
    幻覚(幻聴、幻視、幻嗅、幻味、体感幻覚)
    聴覚・視覚・嗅覚・味覚・知覚(痛覚・触覚など)に関する幻覚のこと。
    すべて「自分の中」でおきている葛藤であったり、自責の念であったり、空想であったりするものが、あたかも「自分の外」からくる感覚として体験されるもの。自責の念は「自分を責める声」 「悪口」であり、消えてなくなりたい気持ちが「死ね!」と命令する声になります。圧倒的な勢いで自分に向かって迫ってくる外界の圧力は、自分を見張っている人、自分を笑っている人、自分を追いかけてくる人たちに見えます。
    イライラ感や恐怖感とあいまって、ときにやむにやまれぬ「反撃」行動に転じることがあり、患者さんを攻撃的にさせます。また逆に、それらから逃れるために消えてなくなりたい気持ちが強まります。またさらに、それらから逃れるために、外界との接触を断ち切るために、患者さんはいっそう硬い殻のなかにひきこもります。しかし、硬い殻のなかにひきこもればひきこもるほどに、幻覚や妄想は盛んになります。
    させられ体験(作為体験)
    人は健康であれば自分が自分自身の意志で行動していることを了解していられますが、「自分が縮小」していくと、あたかも誰か他人が自分を操って行動させていると捉えるようになります。
    自分が自分でなくて、まるで誰かに操られている「ただのロボット」になってしまいます。
    思考吹入
    突然、自分の頭のなかに誰かから「他人の考え」が勝手に吹き込まれるように感じることがあります。
    思考化声(考想化声)
    本を読んでいると、自分より先に誰かの声で、今自分が読もうとしている文章を他人の声で読み上げられてしまうのが聞こえてくることがあります。
    赤い外向きの→
    思考伝播・思考奪取
    自分の考えが声にも出していないのに他人に伝わってしまったと考えることがあります。また、自分の頭のなかから考えが抜き取られるようにして消えてしまう体験をすることがあります。
    盗聴・盗撮・注察妄想
    自分の行動が誰かに間違いなく監視されていると確信します。盗聴器や監視カメラで盗聴されている、隠し撮りされているからだと結論します。
    外界を見る目もくもってしまうので、周りの人の何気ないしぐさなども、自分を監視している、見張っている証拠になってしまいます。とくに自分の行動や考えが周りにすべて筒抜けになっているので落ち着けません。
  • 以上、幻覚や妄想などの「病的体験」と言われるものを中心に、大雑把な説明をしました。
    これらの病的体験(幻覚や妄想など)の成り立ち(発生メカニズム)が少しは理解できたでしょうか?
統合失調症のもうひとつの特徴 〜 頭部CT検査所見
  • 大脳前頭葉の萎縮
    わたしの臨床経験(とくに2005年初め以降の臨床経験)から明確になってきた、大変重大な事実があります。
    それは統合失調症における大脳前頭葉の萎縮です。
    ※ わたしの五稜郭メンタルクリニックには全身用CTがあります。
    当初は脳内(頭蓋骨内)の器質的病変を見つけることを主な目的にしてCT検査をしていました。しかし、検査例数をかさねるうちに、この事実に気づき始めました。
    また、”うつ病”患者さんのなかにも前頭葉が萎縮している場合が多い、という事実でした。しかも同時に、”うつ病”を抗うつ薬で治療していて思ったような治療効果をあげられないケース、一向によくならないケースがかなりあるということにも、悩まされていました。
    ※ 患者さんがわたしのところを頼って受診し、長期にわたって通ってくれるのは、診断をつけてもらいたいからではありません。治して欲しいからです。早く楽になりたいからです。
    「診断」 をつけるのはその第一歩。重要なのは、あくまでもそれに引き続く「的確で有効な治療」 のほうです。ですから、なんとか患者さんをより早く、より的確に治療していきたい、早く患者さんを楽にしてあげたい、という思いで治療・アドバイスをしてきました。
    わたしとしては診断は間違っていないという確信めいたものがありました。なのに何故かその疾患に対する的確と思われる治療・アドバイスをしていても病状が改善しなかったり病状がなかなか安定しなかったりする患者さんが少なくありませんでした。
    そのような患者さんには、なぜか抗精神病薬が効果をあらわします。そこで、わたしも「何かが変だぞ」 「診断が違うのではないか?」とウスウス勘づきだしました。
    そして、統合失調症患者さんと、抗うつ薬が効かず抗精神病薬がよい効果をあらわす”うつ病”患者さんと、その両者に共通して大脳前頭葉の萎縮が認められるという事実、かつ、統合失調症と”そのようなうつ病”との間には、前述してきたような病状・症状などの共通点があること(うつ病と統合失調症の比較のページを参照)が徐々に見えてきました。
    このようにして今まで謎だったことがだんだん明らかになってきました。ジグソーパズルが完成に近づきだすと一つひとつのピースがどこに入るかがどんどんわかりやすくなっていくように、「大脳前頭葉の萎縮」というキーワードでくくると、いろんなことが実に単純明快になってきました。「うつ病」と「統合失調症」というそれぞれの疾患の間の明確な区分がつけられるようになり、それぞれの疾患の原因についても、また、それぞれの疾患の諸症状が現われるメカニズム(しくみ)についても、実にシンプルな説明がつけられるようになりました。
    ※ このホームページ「こころのクリニック」の中軸をなすアイデアは、ここのところに由来します。

    統合失調症の患者さんでは、大脳の前頭葉が萎縮しています。
    そして、病状がすすむにつれて、萎縮も徐々にすすんでいきます。
    ※ 「うつ病」だけではなく、「適応障害」 「注意欠陥/多動性障害」 「摂食障害」などなどの診断を下されている場合でも、大脳の前頭葉が萎縮していればそれは「統合失調症」と診断すべきところを誤診しているのだとわかりました。
    大脳の前頭葉の萎縮がある ”適応障害” ”注意欠陥/多動性障害” ”摂食障害” などは、どれもすべて、このページに述べられている 「統合失調症」 の諸特徴がかならず当てはまるはずだからです。

  • 大脳側頭葉の萎縮
    大脳の側頭葉にも萎縮が認められます。
    側頭葉の場合も、病状がすすむにつれて、萎縮の程度は徐々にすすんでいきます。
    ただし、側頭葉の萎縮は前頭葉の萎縮ほど明確ではないので、初期の統合失調症の場合、その診断確定にはあまり役立ちません。
    ※ CT検査では、スライス厚5mmとか10mmとかで脳の輪切りの平均密度を描くため、統合失調症の初期で萎縮程度が少ないときには、萎縮が認められません。(斜めの切れ込みになっている側頭葉では切れ込み部分の隙間の広がりが「平均効果」によってかき消されてしまいます。)
    これに対して、垂直に切れ込みのある前頭葉や頭頂葉では、初期のころから萎縮が明確に認められます。(垂直な切れ込みの隙間の拡大は、「平均効果」でかき消されることがありません。)

  • 大脳頭頂葉の萎縮
    大脳の頭頂葉に強い萎縮を認める人もいます。
    一般に、頭頂葉の萎縮が前頭葉の萎縮に比べて強い人の場合、気力の減退や情緒不安定といった統合失調症の症状が、その人の社会生活を損なうほど強くないことが多いようです。
    ※ なぜ頭頂葉の萎縮が強い人と頭頂葉の萎縮があまり強くない人がいるのか、両者の間にどのような病態の違いがあるのか、などの疑問にはこれから答えを見つけて、このホームページ上で解答が出せればいいが…と考えているところです。

  • 統合失調症の新たな診断基準作り!
    DSM-4やICD-10の診断基準は、多くの矛盾や間違い・勘違いを含んでいます。
    統合失調症の診断基準は新たに作り直されるべきでしょう。
    ※ うつ病の診断基準も新たに作り直されるべきでしょう。
    いずれの場合も、うつ病と統合失調症の比較のページの考え方を基本におくことで、新たな診断基準が作れるでしょう。
    後日、わたしなりに作成してみます。
    ※ ちょっとくどい繰り返しになるかもしれませんが、まとめます。
    DSM−4やICD−10のような、恣意的な症状の羅列による診断基準作りは間違いです。
    なぜなら、「抗精神病薬(ドーパミンの働きを抑える)が効き、かつ、大脳の萎縮をひきおこす疾患」 と 「抗うつ薬(セロトニンなどの働きを強める)が効き、かつ、大脳の萎縮をもたらすことのない疾患」 という、はるかに明確で、誰もが納得できる基準が見つかったのですから。しかも、それぞれに納得のいく「心理(あるいは精神病理)的な諸特徴」が見つかったのですから。

統合失調症の治療方法
  • 薬物療法 〜 使う薬の種類
    統合失調症の治療の第一歩は、薬による治療です。
    使用する治療薬は、基本となるのが「抗精神病薬」です。ほかに「抗不安薬」を併用することも少なくありません。ときに「睡眠薬」も使用します。

    抗精神病薬
    これは、統合失調症の基本症状(気力の減退、情緒不安定・自殺願望(希死念慮)、コミュニケーション障害・ひきこもり、パニック状態など)を改善・消退させるのに有効かつ不可欠です。
    抗精神病薬なくして、統合失調症の治療は進展しません。
    • SSRIやSNRIなどの抗うつ薬の添付文書に「海外で…自殺のリスクが増加するとの報告があるので…適応を慎重に検討すること」と書かれるようになりました。わたしに言わせると、DSM-W-TRなどで「自殺願望(希死念慮)はうつ病の症状」とする診断基準を取り下げないと、世の医師は(精神科医も含めて)今後も「統合失調症」患者さんに抗うつ薬を投与し続けるだろうし、「抗うつ薬が自殺のリスク云々」のバカげた「警告文」がいつまでも一般人も含めて不安がらせ続けるだろうと思います。

    抗不安薬
    統合失調症では強い不安感・強い恐怖感が出現することが多く、その際に抗不安薬が非常に有効です。
    • 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)に「常用量依存」という恐ろしい副作用があるという、とくに欧米で多い偏見は、DSM-W-TRなどで「統合失調症」を、「パニック障害」 「不安障害」 「適応障害」などの意味不明の疾患に細分化してしまっているために、これらの診断をつけた医者はこれらの病気の治療に抗精神病薬を使おうと思いも至りません。そして、これらの病気には「抗不安薬」はよく効きます。「抗うつ薬」と「抗不安薬」を抱き合わせで使うとすると、効果のない「抗うつ薬」の「効果」を補うために「大量の抗不安薬」を使わざるをえません。これらの病気は実は統合失調症ですから、「抗精神病薬」を使わなければ病気はどんどん進んでいき、不安はどんどん強まり、使用する抗不安薬の量はどんどん多くならざるをえません。患者さんが求めます。抗精神病薬を処方してくれないのだから、強い不安を取るのに大量の抗不安薬に頼らざるをえないではないですか? 診断や治療の根拠として日本よりもDSM-W-TRに頼らざるをえない欧米では(なぜなら医療訴訟王国の欧米では、医師の自由裁量権はほとんどありません。患者を治せなくても自分が間違ったことをしていないという「文書的なしっかりした根拠」があり、それに基づいて治療をしているのですから、治せなくても誰かに訴えられて訴訟に負ける確率は、自分ひとりの「勝手な考え」に基づいて患者さんにとって良かれと思う治療をして「失敗する」よりも安全なのです!) 

    睡眠薬(睡眠導入剤)
    睡眠薬・睡眠導入剤・催眠剤・眠剤…どう呼んでもいいと思いますが、ここでは単純に「睡眠薬」と呼ぶことにします。
    統合失調症の患者さんは、うつ病の場合と違って、睡眠障害がない人も少なくありません。ですから、睡眠薬は治療上必ずしも不可欠ではありません。睡眠障害があっても、「抗精神病薬」と「抗不安薬」を就寝前に服用するだけで改善することも少なくありません。
    必要に応じて、服用すればいい薬です。


  • 薬物療法 〜 抗精神病薬の使い方
    使う抗精神病薬は、まず非定型抗精神病薬と呼ばれるものの中から選ぶのがいいでしょう。
    より副作用の出現率が少なく、長期間服用するときにも安全性が高いからです。
    SDAかMARTAから選びます。
              >
    種類 一般名 商品名 一般的な使用量(1日量)
    SDA ブロナンセリン ロナセン 6mg(1回2mgで1日3回)から開始して、徐々に増量し、
    維持量は1日6〜24mg(最大24mg))
    ペロスピロン ルーラン 4mg(1回4mgで1日3回)から開始して、徐々に増量し、
    維持量は1日12〜48mg(最大48mg)
    リスペリドン リスパダール 2mg(1回1mgで1日2回)から開始して、徐々に増量し、
    維持量は1日2〜6mg(最大12mg)
    MARTA クエチアピン セロクエル 50〜75mg(1回25mgで1日2〜3回)から開始して、徐々に増量し、
    維持量は1日150〜600mg(最大750mg)
    オランザピン ジプレキサ 5〜10mg(1日1回)から開始し、
    維持量は1日10mg(最大)
    ベンザマイド系 ネモナプリド エミレース 9〜36mg、最大60mg
    スルピリド ドグマチール等 (統合失調症)300〜600mg、最大1200mg
    (うつ病、うつ状態)150〜300mg、最大600mg
    ブチロフェノン系 ブロムペリドール インプロメン 3〜18mgから開始し、36mgまで
    ハロペリドール セレネース等 0.75〜2.25mgから開始し、徐々に増量し、
    維持量は1日3〜6mg
    デカン酸ハロペリドール ハロマンス 持効性注射薬、
    4週間に1回50mg〜150mg(ふつう50mg)
    フェノチアジン系 クロルプロマジン コントミン等 50〜450mg
    レボメプロマジン レボトミン等 25〜200mg
    デカン酸フルフェナジン フルデカシン 持効性注射薬、
    4週間に1回12.5mg〜75mg(ふつう25mg)
    イミニジベンジル系 モサプラミン クレミン 30〜150mg(1日3回)、最大300mg
    配合剤 ベゲタミン (鎮静)3〜4錠、(催眠)1〜2錠(就寝前)

    わたしはふつう、
    ロナセン2mg錠を2錠 就寝前に出します。
    これを初日は1錠だけ服用してもらいます。翌朝に眠気やだるさが残らないようなら、翌日からは処方どおり2錠服用するようにと指示します。
    もし1錠でも服用し続けられないような副作用(眠気やだるさ)が出るようなら電話連絡をもらうようにしています。
    このように、ロナセンを1週間服用してもらい、1週間後に再び診察します。
    症状がとれて調子がいいようなら、その量を維持しますが、もしまだ症状が残っていて、副作用も出ていないようなら、徐々に量を増やしていきます。(症状が十分に取れない中途半端な量を維持し続けても、病気がよくなる目処は立ちません。したがって、その患者さんに合った量が見つかるまで、徐々に服用量を上げていきます。)
    もしロナセンが合わなければ、リスパダールやセロクエルなどに変更します。

    たとえば、
    リスパダール1mg錠を2錠 就寝前に出します。
    これもルーランの時と同じように、初日は1錠だけ服用してもらいます。翌朝に眠気やだるさが残らないようなら、翌日からは処方どおり2錠服用するようにと指示します。
    もし1錠でも服用し続けられないような副作用(眠気やだるさ)が出るようなら電話連絡をもらうようにしています。
    このように、リスパダールを1週間服用してもらい、1週間後に再び診察します。

    あるいは、
    セロクエル25mgを2錠 就寝前に出します。
    これもルーランの時と同じように、初日は1錠だけ服用してもらいます。翌朝に眠気やだるさが残らないようなら、翌日からは処方どおり2錠服用するようにと指示します。
    もし1錠でも服用し続けられないような副作用(眠気やだるさ)が出るようなら電話連絡をもらうようにしています。
    このように、セロクエルを1週間服用してもらい、1週間後に再び診察します。

    ジプレキサは、体重増加の副作用があり、とくに高血糖が生じやすく糖尿病を発症しやすいので、ルーラン、セロクエル、リスパダールでも十分な効果が得られないときにのみ、ジプレキサの使用を考えます。ファースト・チョイス(第一選択薬)にはなりません。

    ただし、旧来の抗精神病薬のなかにも、たとえば、
    インプロメンエミレースなどジプレキサよりも副作用が少なく、より安全に使える抗精神病薬があるので、これらが使えないとき(効果が得られないとき、というよりも、副作用が出たとき、ですが…)に、はじめてジプレキサの使用を考えます。ジプレキサを使用するときには月1回くらい血糖値を測定するようにし、体重増加などの高血糖出現の兆候がないか十分に注意して使う必要があります。

    ルーラン、セロクエル、リスパダールはいずれもよい薬で、これらのどれか1剤で統合失調症の症状が改善することも少なくありません。しかし、どれか1剤を最大量まで使っても効果が不十分なときもあり、そのような場合、これらのうちから2剤〜3剤を併用することもあります。

    2006年7月に入ってさっそく使用していますが、副作用としては、ときに(1)めまい、酩酊様のふらつき感、(2)眠気、脱力、(3)不眠、などが出現しますが、これまでの非定型抗精神病薬と比べても明らかに副作用出現頻度は少なく、第一選択薬として適していると感じました。
    他の非定型抗精神病薬を使用して効果が今ひとつという患者さんに使用(併用)することが多いため、必ずしも絶対的にエビリファイが他の非定型抗精神病薬と比べて優れているかの判定は困難ですが、おおむね(1)やる気(意欲、気力)が出てきた、(2)気分が晴ればれしてきた、(3)他剤服用時よりも体が軽くなった感じがする、など好評です。

  • 薬物療法 〜 抗不安薬の使い方
    抗不安薬というと、一般的にはベンゾジアゼピン系抗不安薬(チエノジアゼピン系も含む)です。ときにタンドスピロン(商品名セディール)という抗不安薬を使うこともありますが、抗不安作用がベンゾジアゼピン系に比べて弱いので、セディールは「うつ病」での使用が中心になりがちです。
                                                                                                                                                                 
    種類 一般名 商品名 使用量(1日量)
    チエノジアゼピン クロチアゼパム リーゼ 15〜30mg(1日3回)
    エチゾラム デパス 1.5〜3mg(1日3回)、または、1〜3mg(就寝前1回)
    ベンゾジアゼピン ジアゼパム ホリゾン、
    セルシン等
    4〜20mg(1回2〜5mgで1日2〜4回)、
    原則1日15mg以内
    オキサゾラム セレナール 30〜60mg(1回10〜20mgで1日3回)
    クロキサゾラム セパゾン 3〜12mg(1回1〜4mgで1日3回)
    ブロマゼパム レキソタン 6〜15mg(1日2〜3回)
    ロラゼパム ワイパックス 1〜3mg(1日2〜3回)
    クロラゼプ酸2カリウム メンドン 9〜30mg(1日3〜4回)
    フルジアゼパム エリスパン 0.75mg(1回0.25mgで1日3回)
    アルプラゾラム ソラナックス、
    コンスタン等
    1.2mg(1回0.4mgで1日3回)、
    1日最高2.4mg(1日3〜4回)
    トフィゾパム グランダキシン 150mg(1回50mgで1日3回)
    ロフラゼプ酸エチル メイラックス 2mg(1日1〜2回)
    その他 タンドスピロン セディール 30mg(1日3回)、1日最高60mg


  • 薬物療法 〜 睡眠薬の使い方
    不眠のない人、極度の不眠を訴える人など統合失調症患者さんの睡眠障害の有無や程度はさまざまです。この点で、うつ病の睡眠障害とは異なります。
    強い睡眠障害のときには、ベンゾジアゼピン系睡眠薬だけではなく、他の系統の睡眠薬や抗精神病薬を使用します。

  • 精神療法
    (1) 統合失調症の基本症状およびその原因が、「周囲のペースに振りまわされる」というものでしたから、人は人、自分は自分というふうに、自分と周囲との間にきちんと距離を置くことを覚えることが大切です。
    (2) 「どうしようどうしよう」と考え出して浮き足だち、パニクってしまうのが、統合失調症の基本症状の1つですから、「何とかなるさ」と自分に言いきかせるように心がけ、そして、気持ちを早めに切り替える練習をするのも大切です。
    (3) 

  • 社会技能訓練
    (1) 精神科デイケア
    (2) 精神科ナイトケア
    (3) 作業療法
    (4) 共同作業所・授産施設などでの就労訓練

  • 生活訓練
    共同住居、グループホーム、生活援護寮などの利用。
    生活技能訓練

  • カウンセリング
    自分の気持ちを実際に言葉にして話し、表現してみることで、自分の気持ちに整理をつけたり、それまで気づかなかった自分の気持ちに気づけたりするものです。そのような意味で、カウンセリングは治療の役に立ちます。
    ただし、人によっては、いわゆる 「トラウマ」 「フラッシュバック」 などに振りまわされていて、カウンセリングを受けることで(まだ消化しきれていない)過去のイヤなできごとを思い出してしまい、精神的に不安定になることもあります。そのような場合には、薬による治療などがもう少し進んでから、あらためてカウンセリングを受けるなどしたほうがいいでしょう。

  • 精神科訪問看護
    看護師や精神科ソーシャルワーカーなどが家庭を訪問して、生活指導、服薬指導を行ったり、家族との間の関係調整などを行ったりします。

  • 家族療法 〜 家族のかかわり方
    (1) 疾患に対する十分な理解をもってください。
    周囲は、心配のあまり過干渉・過保護になることもありますが、依存性(人格障害)という疾患とは別の新たな問題を生じさせてしまうので、気をつけましょう。

    (2) 人格の尊重 〜 人の心に対する十分な理解をもちましょう。
    周囲は気を遣ったり、口出ししたりするのではなくて、少し距離を置いて接するようにしてください。
    その際に、距離を置いたフリをするのもよくありません。口には出さなくてもハラハラドキドキ・オロオロして遠巻きに見ているのもよくありません。あくまでも、本人の意思を尊重しており、本人に自立する能力があることを理解していることが重要です。

    (3) 周囲の人たちも、ゆとりをもち続けてください。
    長い目で見ていくゆとり、距離を置いて見守るゆとりを、周囲の人も意識してもつことが大切です。

    (4) 距離を置くことが大切です。
    前述のとおり統合失調症の原因の1つが、周囲のペースに巻き込まれていると感じ続けてしまうことでした。
    ですから、周囲の人たちは、あえて本人を振りまわすような言動は控えるように心がけるべきでしょう。
  • 周囲の人たちの接し方(とくに家族のかかわり方)
    (1) 統合失調症の治療の基本は、規則正しい服薬(薬物療法)です。
    ※ 規則正しい服薬・通院を行っているか見守ってください。(ただし、干渉し過ぎないようにして、本人が自主的に治療継続できるように指導していくことが大切です。)
    (2) 本人にあまり精神的負担をかけない程度に、社会に送り出すための「後押し」をしてみてください。
    ※ ただし、ある程度はずみがついた後は、見守るだけにしましょう。周囲の後押しのしすぎは、本人の自主性をそこね、依存させることにもなりかねません。

  • 依存(人格障害)がある場合
    本人とかかわりのある周囲の人たちが(家族も治療者も含めて)一丸となって、本人を自立させる方向で足並みをそろえて対応する必要があります。
    依存する人は、依存させる人を巧みに嗅ぎつけ嗅ぎ分けて、依存性を強めていくからです。

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