【No.354】 Re: 今更ながらの回答です。
naoto 16/04/09(土) 18:37
DSM-5(ICD-10)などの診断基準で診断すると、診断医によって様々な診断名がついてしまう可能性があります。

DSM-5の「統合失調症」と「うつ病」の診断基準を何かでみる機会があれば、両者は「症状の軽重」と「お互いの除外」だけの違いしかないことに気づかれると思います。

さて、
「考えごとをしていると考えたことが頭の中で自分の意思ではなく勝手に音読されたり、最近家でも外でも機械が故障することがあってそれをもしかしたら嫌がらせなのかもしれないと考えたり、人の視線が気になったり、消えたいと思ったりします。」
とのことですが、これは「統合失調症」の症状と考えてよいと思います(ここでいう「統合失調症」とは「抗精神病薬が効く病態」という意味です)。

統合失調症の治療に関しては、他の方の質問にも答えているので、見ておいていただきたいです。

それでも簡単に述べておきますと、(1)抗精神病薬の服用(注射剤もありますが…)、(2)思考パターンを変える練習、(3)デイケアなどで対人関係を練習し、自信をつけていくこと、
の3つです。

このうち(2)について少し詳しく説明します。
統合失調症の原因は「人に気を回し、周囲のペースに合わせてしまった結果、自分がなくなっている(主体性を喪失する)」ということに尽きます。
主体性を失うと、病識が欠如し始めるとともに、(こちらのほうが遥かに重要なことですが)疲労感が欠如してしまいます。
疲労感が欠如すると(疲れ知らずになると)、底なしに疲れていきます。
たとえば、疲れて気力がなくなったとき、健康な人は周囲の目を気にせず一息入れ、その結果、疲労は回復していきます。それに対して、疲労感が欠如していると、自分を責めて「自分は怠けているのではないか」と考え、「もっと気力を振り絞ろう」と考えます。
したがって、底なしに疲れていきますが、ご本人には疲労感が欠如しているので、「このやる気のなさのなさ、体の重さ、頭の重さ・働きの悪さは、いったい何なのだろう」などと考えます。
もっと気力を振り絞ろうとします。

そのようにして慢性的な疲弊状態になると、マイナス思考が止まらなくなり(専門的には「自生思考」などと呼びます)、睡眠中もマイナスの自制思考が持続し、睡眠中のはずなのに前頭葉がオーバーワーク状態になっているため、起床時に「寝たりなさ」が強く、とくに午前中は外出するのも人に会うのも会話するのも洗顔・入浴すらも億劫になります。
午後からは少し元気が出てきて、仕方なく外出した場合、帰宅すると「ホッとする」という状態になります。
夜は比較的元気ですが、寝ようとするとグルグル考えて寝つきが悪い、ということもしばしば起こってきます。

しかし、「疲労感」が欠如しています。
したがって、自分を責め続けます。

このように、思考パターン(人に気を回してしまう)が原因ですので、この思考パターンを変えていく必要があります。

抗精神病薬(ロナセン、ルーラン、リスパダール、ジプレキサ、エビリファイなど)を服用しながら、コツコツと思考パターンを変える(人に気を回さない、ヒトに気を使わない)練習をすることが必要です。

お薬はそのために欠かせないものです。

対人関係を練習するためにはデイケア参加は非常に役に立ちます。